久保建英の3つ目の課題は守備

久保建英の2021-2022シーズンのレンタル先が、マジョルカに決まった。
ラ・リーガの舞台にデビューとなった2シーズン前にも久保はマジョルカに所属し、そこで主に後半戦からブレイクをはたした。その勢いのまま、翌シーズンに所属したビジャレアルでの躍進が期待されたが上手くいかず、後半戦はヘタフェに移籍するもそこでも状況はあまり変わらなかった。2シーズン目は停滞感が漂い、我慢の1年となってしまった。
3年めの今シーズンは、久保にとっては正念場を迎え、自分の価値を証明する必要があるだろう。そういうシーズンになるはずだ。

久保建英のレアルにおける現状

久保のマジョルカ再レンタルが決まったとき、「なぜ今年もレンタルなのか?」「今年もレアルに残れなかった」といった声も聞かれたが、元々今シーズンに関してレアルに居場所はない。
実力的に、まだレアルでやるだけのものが不足しているのももちろんだが、何より久保が在籍するための席がないのだ。

スペインのラ・リーガでは、外国人枠(※)が3人という問題がある。レアルはこの枠が、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、エデル・ミリトンの3人のブラジル人で既に埋まっている。
ここに更に、イギリスがブレグジットでEUから離脱したため、ウェールズのガレス・ベイルも外国人枠を争うという話も出てきた。結局「2020年12月31日までに契約を交わしたイギリスの選手は契約期間終了までEU圏外選手に扱われない」ということになり、ベイルの問題はなんとかクリアした模様。
いずれにしろ、3人の外国人枠は既に埋まっている。3人のブラジル人は二重国籍でのスペイン国籍取得を申請していて、一番早いヴィニシウスでも、まだ先になる。ということで、久保が今シーズン、レンタルになるか売却になるかに関わらず、レアル以外のチームの所属になることは、ほぼ決まっていた。
 ※EU、EFTA、コトヌー協定、他、外国人扱いにならない特例があるが、ここではEU圏外が外国人という認識で問題ないです

仮に外国人枠が空いていたとし、久保がレアルでレギュラーで出場できるかと言えば、それもない。現状の実力を考えれば、特に昨シーズン停滞してしまったことを考えれば、レアルでプレーするには、少なくともあと2シーズンは成長のための期間が必要なように見える。
レアルでプレーしている選手の経歴を見れば、そのほとんどが他の有力クラブでエース級の働きをしてレアルへ移籍してきている。それでもレアルに来てから、満足にプレーできていない選手もいるのだから、レアルでプレーすることのハードルがいかに高いかが分かるだろう。
久保がスペイン国内の他チームでプレーして、エース級の働きができているかと言えば、まったくできていないという現状を考えれば、レアルでプレーするにはまだまだ足りない。今シーズンのマジョルカでは、チームの中心を担うことは間違いないだろうが、まずは残留や中位への躍進といった結果を残したい。その上で、翌シーズンは中堅以上のチームへのレンタルで目覚ましい活躍と結果を残す。その先に、レアルでのプレーがある。

久保建英の課題、今シーズンに克服すべきこと

久保の課題となっている点は「シュート」「ボール保持」の2つあることは、以前の記事で述べた。

2つの課題のうち、シーズンオフのU-24日本代表の活動期間中に改善の兆しが見られたのは、「シュート」の方だ。東京五輪のグループステージで3戦連発したこともあるが、特に南アフリカ戦で決めたゴールには、進歩が見られた。

東京五輪初戦、南アを相手に久保のゴールで勝ち星
東京五輪グループAの日本は、南アフリカ、メキシコ、フランスと同組になり、7月22日に初戦の南アフリカ戦が行われた。 スタメンとメンバー構成 スタメンは、冨安健洋が左足首の負傷でメンバー外ということで、代役は板倉滉が努めた。右太ももを痛めてい...

久保も気づいて、カーブをかけたシュートに取り組み始めたのだろうかと、そんな気がしないでもない。まだまだ十分ではないが、改善の兆しが見え始めたような感じだ。
シュートに関しては、できれば今シーズン中にも改善したいところだが、この先2年くらいで課題の克服に努めればいいような感じだろうか。とりあえずは、パスやドリブルといった武器があるので、少し余裕を見ても大丈夫だろう。

一方で、「ボール保持」については相変わらずで、今シーズンのラ・リーガで度々見られたような場面は数多く見られた。それが顕著だったのがグループリーグのメキシコ戦で、遠藤航との対比が、特に久保の課題を明確に浮き彫りにしていた。

久保の2戦連発、堂安のPKで、日本はメキシコに勝利
試合展開 初戦からのスタメンの変更は、左サイドハーフが三好康児から相馬勇紀に変わったのみ。この試合もベンチ外の冨安健洋のポジションには、今回も板倉滉が入った。控えメンバーのディフェンダーも旗手怜央と橋岡大樹しか居ないことから、森保監督は富安...

はっきり言って、ラ・リーガの各チームは、一昨年のマジョルカでの活躍を受けて、昨シーズンが始まる前には久保対策の体制を整えたように見える。アトレティコの守備ですら驚異となった久保のドリブルに対して、ファールにならずとも容易に止められる術を見つけたのだろう。久保のドリブルは研究されて、弱点を見つけられたということだ。
それに対して、昨シーズンの間中、久保対策の対策を施すことができなかったというのが現状だ。それは、東京五輪でも変わっていない。
今シーズンは、早い段階でこれを克服しなければならない。そうでなければ、今シーズンも昨シーズン同様に、久保がドリブルをすれば相手のチャージを受けて転倒、ファールをアピールするもノーファール、という状況は繰り返されるだろう。
もしもそうなってしまえば、今シーズンも久保の良さは発揮されずに終わってしまうことが懸念される。

相手がやってくることは既に分かっているのだろうから、それに対して久保がどのように対処するのか、それが求められている現状だ。
それをかわす技を身につけるのもひとつの解決策だが、もっと単純に球離れを良くするなどしてもいい、三好康児や香川真司はそういった解決策を採っている。
そのあたり、どこはドリブル突破を優先して、どこはパスを選択して相手をかわすのか、といった判断力が求められているのではないだろうか。

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