3月2日にFAカップ5回戦(ベスト16)リヴァプール対ノリッジの試合が行われ、南野拓実は先発フル出場して2ゴール、リヴァプールは2-0で勝利してFAカップカップ準々決勝進出を決めた。
南野拓実は全2得点を叩き出して試合を決定づけ、2-1の勝利に貢献
直前の2月27日に行われたEFLカップ(カラバオ・カップ、リーグ杯)決勝では出番のなかった南野だが、この試合では久々の先発フル出場。
リヴァプールはここ3週間ほど週中にも試合が組み込まれており、リーグ戦、チャンピオンズリーグ、リーグ杯決勝と重要な試合で主力が起用されていたことから、この試合は主力に休養を与える大幅なターンオーバーが行われることは予想されたとおりだった。
試合の展開を全体的に見ると、リヴァプールは攻守両面で主力が居ないことの不安が随所に見られた。
守備の面では十分に守れてはいるが、ヒヤッとする場面はあり、「ファン・ダイクが居れば」と思わせる場面はいくつかあった。
攻撃では決定機の場面はそれなりの数で創出できているが、そのチャンスを決めきれない。こちらも「サラーやマネなら」あるいは「アレクサンダー=アーノルドかロバートソンが居れば」と思わせる展開は多かった。
その中で、南野はしっかりと2つの決定機をものにしており、この南野の2ゴールが勝敗を分けている。
試合展開を見れば、27分にリヴァプールは先制、39分にも追加点を入れたことで、2点リードの余裕を持って前半を終えられた。同点かリードが1点で後半が進むような状況なれば、主力の中でベンチ入りしていたマネ、ルイス・ディアス、ロバートソンといったメンバーは途中の早い段階で投入するはめになっていたはずだ。
2点リードしていたことで、76分に1点差に詰め寄られても、それほど慌てることなく逃げ切りの展開で試合は終了した。
南野拓実の国内カップ戦の成績は秀逸
ユルゲン・クロップ監督も「彼がいなければ準々決勝に進出していないし、リーグ杯の決勝にも進んでいない」といった感じのコメントで、南野が自分に与えられた役割を十分にこなし、期待に答えていることに満足している様子。
実際の今シーズンの南野の今シーズンのカップ戦の成績は以下の通り。
8試合出場(うち5試合フル出場)、EFLカップ4ゴール、FAカップ3ゴール、合わせて7ゴールと申し分ない。
月日 | 回戦 | 対戦相手 | 結果 | 出場 | 得点 | 備考 |
9/21 | 3回戦 | ノリッジ(1部) | ○0-3 | フル出場 | 2G | |
10/27 | 4回戦 | プレストン・ノースエンド(2部) | ○0-2 | フル出場 | 1G | |
12/22 | 準々決勝 | レスター・シティ(1部) | △3-3(◯PK5-4) | フル出場 | 1G | 延長突入を決めた同点弾 |
1/13 | 準決勝1st | H アーセナル(1部) | △0-0 | フル出場 | 決定機を外し引き分けに | |
1/20 | 準決勝2nd | A アーセナル(1部) | ○0-2 | 63分~ | ||
2/27 | 決勝 | チェルシー | △0-0(○PK10-11) | 出場せず |
月日 | 回戦 | 対戦相手 | 結果 | 出場 | 得点 | 備考 |
1/9 | 3回戦 | シュルーズベリー・タウン(3部) | ○4-1 | 後半開始~ | ||
2/6 | 4回戦 | カーディフ・シティ(2部) | ○3-1 | ~69分 | 1G | |
3/2 | 5回戦(B16) | ノリッジ(1部) | ○2-1 | フル出場 | 2G |
さらに、2020年1月のリヴァプール加入以降、国内カップ戦に限れば枠内シュートの決定率は100%を誇るというデータも取り沙汰されている。
南野拓実の今シーズの活躍は、本来は昨シーズンに期待されたもの
個人的には、今の南野の活躍する姿は、本来昨シーズンに期待していたものだった。
2020年にシーズン途中の1月にリヴァプールに加入すると、十分な出場機会は得られないこともあり、ノーゴールでシーズンを終えた。リヴァプールはリーグ優勝を果たし、結果的に南野もチームの一因としてカップを掲げることにはなったが、本人としては満足がいかなかった。
内情を精査すれば、リーグ戦では優勝争いの真っ只中から、優勝を決めた後も「勝ち点100超え」という目標を目指すことで、主力の起用が続いた。カップ戦はEFLカップは南野の加入時点では既に日程を終了しており、FAカップ3試合に出場したのみに終わった。
他UEFAチャンピオンズリーグ(CL)1試合に出場しているが、こちらとリーグ戦の出場は殆どが試合終盤の限られた時間に過ぎない。
といったことを踏まえれば、翌2020-21シーズンの展望としては、リーグ戦とCLの状況は大きくは変わらないかもしれないが、過密日程のイングランドではターンオーバーの機会もあるはず。
2つの国内カップ戦に関しては優勝が見えてくるまでの試合に関しては南野は積極起用されるという見通しがあった。
つまり、国内カップ戦を中心に出場機会が多く見込まれるシーズン前半に結果を出せば、シーズン後半はリーグ戦でも出場機会は増やせるのではないか、そんな感じの期待を持って南野の動向に注目していた。
ところが、蓋を開けてみれば、ファン・ダイクの負傷離脱に始まるDF陣の崩壊は、南野のリヴァプールでの出場機会を大きく奪うという副次的な効果をもたらすことになる。結果、シーズン半ばでサウサンプトンへとレンタル移籍をすることとなってしまった。
今シーズンのここまでの展開は、昨シーズンに南野に期待していたシナリオそっくりそのままではないが、かなりそれに近い状況になっている。
ディオゴ・ジョッタに加えて、左ウイングの新戦力 ルイス・ディアスが1月に加入し、南野のリヴァプールにおける立場は苦しくはなってきているが、この試合のような働き、結果が出せれば、まだまだリヴァプールでの活躍の機会はあると思われる。
特に、この試合で改めて感じたのは「南野は左ウイングよりも、右ウイングのほうが適任なのではないだろうか」ということだ。