2月27日、EFLカップ(カラバオ・カップ、リーグ杯)決勝チェルシー対リヴァプールが行われ、延長戦の末0-0の引き分け。PK戦10-11でリヴァプールが勝利、10年ぶりのEFLカップ優勝となった。
PK戦は両チームのフィールドプレヤー10人がすべて成功という緊迫した流れで、11人目のGKを迎える。先行リヴァプールGKクィービーン・ケレハーが成功させたものの、後攻チェルシーのGKケパ・アリサバラガがバーの上にシュートを外して決着がついた。
南野拓実は決勝で出番なしも、EFLカップ優秀には大きく貢献
南野拓実はこの決勝では出番がなかったものの、準決勝までの5試合すべての試合に出場(フル出場4、途中出場1)。準決勝のアーセナル戦2試合こそゴールはなかったものの、それまでの3試合で4ゴールを決めており、EFLカップにおけるチームの得点王。特に準々決勝のレスター・シティ戦では、後半アディショナルタイムに同点ゴールを決めて敗退の危機から救った。
控えの南野、ディヴォック・オリジのゴールがEFLカップ優勝に貢献したことをユルゲン・クロップ監督はコメントしている。
南野にとって、この優勝は2シーズン前のプレミアリーグ優勝よりも嬉しかったのではないだろうか。
プレミアリーグ優勝の際は加入して半年、リーグ戦の出場時間も短く、まだ1ゴールも上げられていない状況で、自らが優勝に貢献したとは感じていなかったのだろう。優勝セレモニーでも、カップを掲げるのためらっており、それに気づいた主将のジョーダン・ヘンダーソンに促されてようやくカップを掲げていた。
中田英寿が後年のインタビューで、「ローマでのリーグ優勝よりも、パルマでのコッパ・イタリア優勝の方が嬉しかった」と語っている。理由としては、プロ入り前も含めてそれまでタイトルを獲得をしたことがなく、初めて自らの手で勝ち取ったタイトルだったから、といったようなことを述べている。
ローマではフランチェスコ・トッティの控えという立場にあり、本人が納得のいく出場時間が得られていたわけではない。それでも、出場すれば十分な仕事はしている。特にシーズン終盤に優勝を争うユベントスとの直接対決では、0-2とリードを許した状況でトッティと交代で出場。いきなりミドルシュートを決めて消沈するチームに息を吹き込むと、さらにロングシュートのこぼれ球を味方が押し込んで同点。負け試合を中田が引き分けに持ち込む大活躍をした。
ローマのファンが「優勝できたのは中田のおかげ」と、リップサービス抜きに称賛するほどなのだが、それでも中田にとっては自らが勝ち取ったといえるタイトルではなかったということなのだろう。
そういったことを踏まえれば、南野にとっては、貢献できなかったプレミアリーグのタイトルよりも、今回のEFLカップの優勝のほうがどれほど嬉しかっただろうか。
もし仮に1月の移籍市場で移籍していれば、優勝カップを掲げることもなかったわけで、そういった意味では移籍しないで良かったといえる。