南野拓実のリヴァプールにおける適正ポジションは右ウイングなのでは?

3月2日のFAカップ5回戦(ベスト16)リヴァプール対ノリッジの試合は、南野拓実の2ゴールでリヴァプールが2-1で勝利した。この試合を見て、改めて感じたのはリヴァプールにおける南野の適正ポジションは、実は右ウイングなのではないかということだ。

南野拓実がゴールを決めるエリアはゴール右が多い

この試合で南野がゴールを決めたのは、いずれも敵陣ゴール右のエリアだ。

先制点の場面は、左サイドにボールがある展開で、相手ディフェンスは右サイドから中央に固まっている。右サイドを上がる南野は、自身がフリーであることから手を上げてパスを要求するが、このタイミングではパスは入らない。
ゴール前のディヴォック・オリジにパスが入り、オリジはワントラップから右にパスを叩くと、フリーで構えていた南野はワントラップしてボールをゴールに流し込んだ。

追加点の場面は、左CKをコスタス・ツィミカスが蹴って、相手がヘディングしたボールが右サイドに流れる。これがエリア内右にポジション取りしていた南野への絶好のパスとなり、トラップを前に流して豪快にゴールに蹴り込んだ。

この試合では南野は右ウイングのポジションを務めていたので、ゴール右からフィニッシュしたのは自然なことかもしれない。
しかし、CFや左ウイングを努めていいた場合でも、チャンスの場面ではゴール右にポジション取りをしているのはよく見かける。ゴール正面、ゴールポストやや左、ゴールポストやや右、チャンスの場面で南野がポジションどりしているのは3パータンあるが、その中でもゴールポストやや右のポジションは頻度が高い。

これまでの南野拓実のポジションは、センターか左が多い

リヴァプールに加入してから、南野のポジションを振り返ってみる。
当初求められたのは、4-3-3の3トップのうち9番の位置CF、ロベルト・フィルミーノのバックアッパー。次いで、左ウイングとして、サディオ・マネの代わりに出場することがほとんどだった。

昨シーズンにディオゴ・ジョッタが加入したことで、ジョッタは左ウイングとCF、特にフィルミーノの代わりとしてCFで起用されることが多くなった。それによって、南野はジョッタの加入以降CFでの起用は減り、左サイドの左ウイングやインサイドハーフといった起用が中心になる。
国内カップ戦など、ターンオーバーで主力が出ない試合でも、右ではなく左サイドのポジションに入ることがほとんど。
それでも、実際の試合を見ると、チャンスの場面でゴール左に居ることは多いが、ここぞという場面ではゴール右に居ることもしばしばある。

日本代表ではどうかといえば、森保ジャパン発足当初はトップ下で活躍をしたが、ここ最近はトップ下は鎌田大地や久保建英が務めることで、南野のポジションは左サイドハーフ、左ウイングとなっている。
しかし、チャンスの場面を見ると、南野はゴール右に位置取りしていることは、やはりしばしば見られる傾向だ。

リヴァプールに来る前のレッドブル・ザルツブルクではどうだったかといえば、中盤ダイヤモンドの4-4-2のフォーメーションの中で、2トップ、トップ下、インサイドハーフの前よりのポジションはすべてこなしており、特に左右にこだわった起用はされていなかった。

そういったことを踏まえれば、南野のポジションは絶対的に左ということはなく、むしろ右に配置したほうがプレーしやすいということはあるのではないだろうか。

リヴァプールにおけるサラーと得意エリアが被る問題

リヴァプールで実際にリーグ戦などで途中出場する場合を見てみる。
先に述べたように、左ウイングやCFのポジションに交代で入ると、左からマネ(もしくは別の選手)、南野、モハメド・サラー、もしくは南野、フィルミーノ(もしくは別の選手)、サラーといった感じでの布陣となる。
南野が出場する際には、マネやフィルミーノが別の選手と代わっていることもあるが、サラーは右サイドで変わらずに出場していることがほとんどだった。

この布陣で何が起こるかというと、リヴァプールのチャンスの場面で、サラーが右サイドからドリブルでゴール前に切り込んでいくと、サラーの進む先に南野が陣取ってパスを要求しているということはしばしば見られた。
つまり、南野の得意エリアとサラーの得意エリアがモロ被りしている。サラーがドリブルで切り込んでフィニッシュしたい位置と、南野のがパスを受けてフィニッシュしたい位置が共通であり、それが敵陣ゴール前右寄りのスペースだ。お互いの良さを潰し合ってしまっている。

一方で、南野は国内カップ戦要員という役割がメインになっており、こちらではリーグ戦とは異なり、出場時間もフル出場が多く、ゴールも多く決めている。
相手が格下ということもあるが、ターンオーバーで主力のほとんどが休んでおり、サラーはまずベンチ入りすらしない。もちろん優勝が見えてくる終盤まで勝ち進めば主力がスタメンに名を連ねるが、その場合は南野は控えに回る。
つまり、国内カップ戦ではサラーとともにプレーする機会自体がまずない。控えメンバーとの相性は軒並み良好な感じも受ける。
南野が国内カップ戦であれだけ活躍している理由は、そのあたりにもあるはずだ。

南野拓実の最適ポジションは実は右ウイング、そこにリヴァプールでの活路もある

これまで、CFフィルミーノ、左ウイング・マネの控えという役割だったが、南野のリヴァプールにおける最適なポジション・役割は右ウイング、つまりサラーのバックアッパーということになるのではないだろうか。

リーグ戦やUEFAチャンピオンズリーグでは、サラーの控えとしてベンチに入り、サラーと交代で後半途中から出場する。
国内カップ戦では、スタメンとして右ウイングに入る。もちろん、適正ポジションが右ウイング以外ということになるのであれば、右ウイングにこだわる必要もないが。

現状のリヴァプールのメンバー構成を見れば、右ウイングこそが南野の活路であることも見えてくる。
左サイドはといえば、マネが相変わらずの顕在のうえに、1月に新戦力 ルイス・ディアスが加入しており、早速レギュラーとしてスタメンに名を連ねているような状況にある。
CFはフィルミーノの衰えも指摘されてきてはいるが、ジョッタがその代わりを十分に務めている。さらに、ディアスの加入により、マネがCFにポジションを移しているのが、直近の状況だ。
右サイドに目を向ければ、サラーが絶対的なエースとして君臨してはいるが、その控えの座は明確には定まっていない。ジョッタが右に回ることもあるし、他の選手が入ることもあるが、右ウイング・サラーの控えのポジションは空席になっていると見えなくもない。この席に南野がつくことは、本人にとってもリヴァプールにとっても有意義なことではないだろうか。

さらに言えば、サラーの契約は来シーズンまでとなっており、今シーズンが始まる前からサラーの契約延長は取り沙汰されている。リヴァプールとしては絶対的エースとして契約延長は必須の構えで居るが、サラー側が要求している金額が高すぎて未だに契約はまとまっていない。一方でサラーを狙っているクラブとしては、レアルやバルサ、パリ・サンジェルマンといった名前が挙がってきており、移籍の可能性もないわけではない。
仮にシーズンオフにサラーが移籍したとしても、サラーの代わりの右ウイングは新たに獲るはずだが、南野にとってサラーよりは直接ポジションを競いやすい、プレーの面で共存しやすい、という可能性は高そうな気はする。

サラーが留まるにしろ、移籍するにしろ、南野にとって右ウイングに活路を見出すことは、リヴァプールに留まるうえでは有力な道になるのではないかと感じる。

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