ベトナム、オマーンに連勝するも、森保一監督の選手起用、采配には疑問

森保監督の采配に一定の評価はできるが、疑問もある

以前から、代表では2トップや3トップのオプションはあって然るべきとは思っていた。
ただ、どちらかというと、それは攻撃を重視した意味合いで、日本がアジアで戦っていると相手は引いて守るケースが多い。アジアカップ2019やW杯2次予選を見ていれば、そういった思いは常々抱いていた。相手は引いて自陣で守っているのに、日本のFWは常に1枚しかいない、これはどういうことなのだろうか? ということだ。
しかし、アジアでの戦いとは言え、最終予選は様相が異なる。アジアの中で実力上位の相手は、日本とそれほど大きな実力差があるチームではない。

森保監督は、この最終予選のオーストラリア戦で4-3-3に変更した。ようやく4-2-3-1以外のフォーメーションを用いたことは高く評価したが、試合後の森保監督のコメントを聞いて、少し首をかしげるようなところはあった。
森保監督が「4-3-3というより4-1-4-1」と発言したことは、特に問題はない。4-3-3の両ウイングと4-1-4-1の両サイドハーフを務める選手は同じ選手で、その位置の高さに違いがあるだけだ。
ところが、この4-3-3を導入した経緯として、「2010年南アフリカW杯の戦い方もイメージして……」といったコメントが出て来ると、首を傾げるしかなかった。

2010年の南アフリカW杯における岡田監督の戦い方は、方針はベタ引きに守って、攻撃はほぼ前線の3枚のみに委ねるという極端な守備重視の方針だ。フォーメーションも表記上は4-1-4-1ということになるかもしれないが、実際には4-3-2-1(※)と表記したほうが実情に近い、たしか当時はそう表記されていたように思う。
中盤の遠藤保仁と長谷部誠はインサイドハーフではなくボランチで、その下にさらにアンカーの阿部勇樹を配置した極端な守備体制で、攻撃時にも両ボランチはそれほど高い位置は取らない。攻撃はあくまで前線に開いた両サイドハーフ松井大輔と大久保嘉人の個人技から、1トップ本田圭佑へクロスを入れる形。残りのフィールドプレイヤーは守備に重きを置いている。
本田と遠藤の2枚のプレースキッカーもおり、そこに期待する面もあった戦い方だ。
 ※イタリアで流行った2列目がインサイドハーフの三角形型、いわゆるクリスマスツリーの形ではなく、2列目がワイドに開いた形。

それに対して、現在主流の4-3-3は、中盤の3枚はインサイドハーフ+アンカーであり、3人の選手は攻守両面に渡って中盤の働きを担当する。
4-3-2-1だった南アの戦い方とは、根本的なところからして違うのだが。

それを「南アもイメージして4-3-3(4-1-4-1)」と言ってしまう、森保監督の考え方には驚いた。逆にその発想だからこそ、両インサイドハーフにボランチ適正の高い守田英正と田中碧を配置したのだろうことは理解できた。
オーストラリア戦前の3試合で2失点しかしておらず、各試合で1失点以下に抑えられている。守備面が崩壊している印象もなく、普通に守れている。
問題があるのは1得点しか取れていない攻撃の方にあり、どのようにゴールを決めるのか、ということを考えるべきだ。その結果、攻撃に厚みを増すために4-3-3を採用するに至ったというのが普通なはずなのだが。

ただ、試合の中身を見ると、南アの4-3-2-1という印象はまったくなく、現在流行りの普通の4-3-3のシステムで機能している。中盤の3枚は攻守両面に渡って奔走しており、オーストラリア戦で田中碧が試合終盤にスタミナ切れになっていることからも、それはよく分かる。
結果を見ても、オーストラリア戦から3連勝は問題ない。ただ、ベトナム戦を最小得点差の0-1というのはいただけないだろう。

選手交代を見ても、途中出場したのは以下の通りだ。

オーストラリア戦 古橋亨梧、浅野拓磨、中山雄太、柴崎岳
ベトナム戦 中山雄太、浅野拓磨、柴崎岳、古橋亨梧、原口元気
オマーン戦 三笘薫、中山雄太、古橋亨梧、浅野拓磨、原口元気

先発メンバーがほぼ同じで、交代で途中出場するメンバーもほぼ決まっている。これでは相手にも読まれやすく、試合に出られない控えメンバーのモチベーションが上がるはずもない。
原口元気は交代出場はしているものの、両試合共に88分からの出場で、満足なプレー時間は与えられていない。
この11月のメンバーには、新規やそれ以前にはあまり呼ばれていなかったメンバーも招集されているが、その中から出番を与えられたのは三笘が唯一だ。
その三笘にしても、呼ぶならひとつ前の10月に招集してもおかしくなかったと思う。そうすれば後半の切り札的に使って、ゴールに貢献するプレーを披露した可能性は十分にあっただろう。

W杯本番を見据えれば、森保一監督ではやはり不安

まだまだ予断は許さないものの、幸いにして最終予選突破は道は見えてきた気がする。

しかし、森保監督でW杯本戦を戦うのは不安すぎるし、その準備も無理だろう。主力固定メンバーに固執して惨敗に終わった2006年ドイツ大会、2014年ブラジル大会の二の舞、三の舞が予想される。
W杯本戦出場の手柄をもって森保監督には勇退していただき、その先は別の監督の手腕に委ねるのが賢明なように思われる。日本サッカー協会としては、最終予選が終了するまでに次の監督の人選を進めておくべきではないだろうか。

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