ここ数年、長谷部誠(37歳)の去就が騒がれる時期になったが、今年は引退説はそれほど騒がれてはないない様子。しかし、既にコーチングライセンス講習会に参加中という情報が出てきた。
長谷部誠は、ここ数年引退説を覆しては、チームの要として活躍し続けた
「さすがの長谷部も、今シーズンで引退だろう」
ここ数年、何度も目(耳)にしたフレーズだが、個人的にはそれに対して「やっぱり引退なのか」と思ったことは一度もなかった。
なぜなら、長谷部本人の口から引退がうかがえるようなコメントが出てきたことはない。例えそれがコンディション的な問題がないのに、数試合に渡って出番がなかったとしても、長谷部が引退を感じさせるようなコメントをしたことはなかった。
プレーぶりからも、そのような兆候を感じることはまったくない。さすがにフル出場に近い試合を連続でこなすような状況なると、疲労からプレーに精彩を欠くことはあるが、そればかりは年齢から来るものなので致し方ないが、それ以外には衰えを感じさせる面はほとんどなかった。
ここ2,3年ほど見慣れたものが繰り返されているが、この時期になると長谷部に対する見直しの評価が得られる。開幕当初はスタメン出場するも、シーズンの経過とともに出番を減らし、11月頃になると引退が囁かれるようになる。しかし、不調のチームに対して長谷部の必要論が囁かれ、出番を与えられれば違いを作れるプレーを披露してチームに新たな活力を吹き込む。すぐにスタメンで連続出場するようになり、年が明けて春になる頃には契約を延長を勝ち取る。
今シーズンは指揮官の交代もあり、序盤は順調に出場したものの、チームの不調や指揮官の構想のアオリを受けて出場機会を失う。しかし、不調のチーム状況から、やはり「長谷部必要論」が叫ばれるようになり、10月から再び出場機会を得る。11月に入る頃には、ゲームキャプテンとして堂々とチームを鼓舞する姿が普通の状態になった。例年と、さほど変わらない状況変化だ。
直近のリーグ戦2試合では、メディアからもチーム関係者からも絶賛の評価を受けている。
それでも、長谷部誠は今シーズンで引退なのではないか? と感じるものはあった
ただ、さすがに今シーズンは開幕前から、「長谷部は今シーズンで引退なのではないか」そんなふうに心の片隅で思うところはあった。
プレーを見ていると、やはりUEFAヨーロッパリーグ(EL)でベスト4の大躍進を見せた2018-19シーズンが選手として最後のピークだったように思う。翌2019-20シーズンはそれほど変わらないプレーぶりだったし、昨シーズンも十分にチームの要のプレヤーである存在感は見せていたが、随所で見せるプレーの鋭さは徐々に衰えているように感じる。ブンデスリーガ標準以上のものは維持しているのは間違いないが、3シーズン前のようにブンデスリーガトップクラスのプレーぶりと比べてしまえば、やはり見劣りしてしまう。
それでも、ベテランとしての経験やゲームキャプテンとしてチームを牽引するキャプテンシーは健在で、今シーズンもチームに貢献するだろう。実際に直近の試合では、指揮官からもメディアからも再び絶賛されているような活躍ぶりだ。
昨シーズン末には、フランクフルトがUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得して、今シーズンはCLを中心に出場して引退の花道を飾る。そんなふうに思ったりもしたが、結果的にフランクフルト悲願のCL出場権獲得は寸でのところで叶わなかった。
結果的に手にしたものはEL出場権で、2018-19、2019-20シーズンに活躍をした舞台に再び舞い戻ることになった。
今シーズンのフランクフルトは、リーグ戦は序盤は絶不調ながらも副長の兆しは見せており、直近の試合は3連勝と波に乗り始めた感はある。ELの方はというと、不調なチーム状態ながらも結果は十分に出しており、グループステージ最終節を残して首位に位置している。再びヨーロッパの舞台での活躍が期待できる気配はある。
長谷部誠は既にコーチングライセンスの講習会を受講中
今シーズンここまでに、長谷部本人の口から進退に関するコメントは、まだ出ていない。
しかし、やはり「長谷部は今シーズンで引退なのではないか」というのを裏付けるような情報が出てきた。
ドイツサッカー連盟(DFB)主催の講習会に1期生として参加中とのこと、現役選手と現役を引退した元選手向けのコーチングライセンスやプロサッカーのマネジメントの講習。
フランクフルトでチームメイトのセバスティアン・ローデ(31歳)とティモシー・チャンドラー(31歳)もその講習会に興味があり、長谷部に話を聞いて相談した様子。
今シーズンに入ってから、長谷部が自らの進退に関して口にしたことはないはずなので、今シーズン限りで現役引退するのかどうかについては、まだ分からない。
今年3月に契約更新後の記者会見では、去年の時点では「99.9%この夏に引退するつもりだった」と述べている。引退してコーチングライセンスを取得しようと思っていた、とのこと。
それが、もう1年契約を延長して続けることになっているだけに、再び同じことが起こるとも限らない。
ただ、その会見では、2021-22シーズンが最後になりそう、ということも述べていはいる。そして、既にコーチングライセンス取得のための講習会も受講中。となれば、普通に考えれば、今シーズン限りで引退して指導者の道を歩みだす、ということになるのだろう。
でも、まだ分からない。
長谷部本人の口から引退の言葉が発せられるまでは、分からない。
来年の春先になってみないと、どうなるのかは分からないのではないだろうか。