遠藤航がシャルケ戦で2ゴール2アシストの活躍

シュツットガルトの遠藤航が、2月27日のシャルケ戦でドッペルパックを決めたあと、2アシストもつく大活躍をした。
結果だけ見れば、今期絶不調の最下位シャルケ相手に5-1の圧勝に見えるが、ゲームを見ているとそう単純でもなかった。ただし、その中で遠藤が要所要所でゴールとアシストを決めている。

まずは前半9分に、右コーナーから山なりのクロスが落ちてきたところで、ファーサイドに構えていた遠藤がダイレクトボレーで先制弾。
ここまで無得点の遠藤に対して、シャルケは無警戒だったかのか、まったくのノーマークで決めている。

続いて同25分、今度は左コーナーから低いクロスが2バウンドしながらゴール前の敵味方を通過して、これまたファーサイドで待ち構えていた遠藤が、今度はハーフボレーで追加点を決める。
先ほど得点を決めている遠藤に対して、またもやシャルケは無警戒のノーマークでゴールを許す格好になった。

左右逆の形だったが、両方の場面で遠藤はファーサイドにポジション取りをしており、これがシュツットガルトのコーナーキックにおける遠藤の配置のようだ。タッパのないぶんファーサイドで構え、こぼれたボールの処理が役割なのだろう。
1点目はフリーになっているのを見てキッカーが遠藤をターゲットにした感じで、2点目は誰も触れなかったこぼれ球を遠藤がシュートしたように見える。

その後、敵味方1点ずつ加えてハーフタイムを迎える。
後半は一進一退の攻防だが、シュツットガルトはPKも含めてキーパーの好セーブにより失点を防いだ場面がいくつかあった。
一歩間違えれば1点差に追いつかれ、その勢いのまま同点という可能性はありえるような展開だった。

試合終了が近づいた後半87分に、シュツットガルトは21クレメントが個人技でディフェンスをうまくかわして、ペナルティアークから鋭いシュートをゴール隅に突き刺すと、これで試合が決まった。
ラストパスを送っているのが遠藤だ。アシストというよりはクレメントが個人技でもぎ取った感じがするが、最前線のクレメントへ鋭いパスを通して、試合を決める一撃に遠藤も一役かっている。

これで完全に戦意を消失したシャルケに対して、後半アディショナルタイム1分、ダメ押しの追加点が決まる。
シャルケディフェンス陣は、ピッチの中央ペナルティエリア手前でボールを持つ10ディダヴィに対してチェックが甘く、ミドルシュートを許している。
直前にパスを供給した遠藤にアシストがついたが、これは完全なおまけにすぎない。

しかし、このおまけは遠藤にとっては大きな意味があったようだ。
ブンデスリーガで1試合4得点への直接関与は、日本人選手としては初という勲章がついた。

スコアだけ見れば5-1の大差がついたが、そこまで大差がつくような試合内容ではなかったように見える。
ただ、振り返ってみると「これが勢いのあるチームと絶不調のチームの差なのか」と思うような場面は随所に見られた。

内田篤人が活躍していた頃は毎年チャンピオンズリーグ常連の強豪だったシャルケは、ここ2,3シーズン不調にあえいでいる。
セットプレーで遠藤をノーマークにして失点、だけならまだ良かったが、同じようなケースで再びマーカーを付けずに再度失点。PK失敗や絶好の好機もキーパーの好セーブに阻まれており、肝心なところで1点が遠い。シャルケは不調のチームによく見られるような典型的な状態だった。
シーズンの3分の2ほどを終えた段階で勝ち点9の最下位、降格に対して既に崖っぷちの現状がプレーにも影響を及ぼしている感じがする。

一方のシュツットガルトは今期はずっと中位争いを演じており、2部から復帰直後のチームとしては上々のシーズンを送っている。
遠藤もシーズン前半には「デュエルマスター」と話題になったほどに、昨季2部と同様に1部の舞台に上がってもデュエルの強さは健在。中盤の底でチームを支え、好調なチームの要因の一つとして活躍中だ。

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