2月20日の対チェルシー戦で、南野はサウサンプトン移籍後2つめのゴールを決め、このゴールはメディアでも大きく取り上げられている。
あまりにも見事なゴールだったため、何度もリプレイを見てしまったが、見ているうちに南野の個人技だけではないことに気付いて興味深かった。
【ローンウォッチ👀】
— Liverpool FC Transfer Centre (@LiverpoolTrans5) February 22, 2021
南野拓実/サウサンプトン
🏴プレミアリーグ13位
サウサンプトン 1-1 チェルシー
左サイドでスタメン出場。
33分にレドモンドのパスに抜け出し、最後はメンディとアスピリクエタのタイミングをずらして流し込み先制ゴール。
76分に交代。 pic.twitter.com/516pN2tzPh
そもそも、このゴールシーンを最初見た時から、ちょっと不思議な感じがしていた。
南野の動きが相手の隙をついているのは分かるが、それにしてもきれいに相手ディフェンスの間を抜けている。チェルシーのディフェンス陣は、それに対して対応しきれていない。
もちろん、南野が左サイドから中央へ進入しており、チェルシーで中央に居たカンテは別の選手(ジェネポ)を見ていたというのもあるだろう。それにしてもチェルシーCB陣の対応はお粗末すぎる。
しかし、リプレイを何回か見ているうちに、これがサウサンプトンのフォーメーションなのだというのが分かった。
そもそも、最初にボールを保持していたサウサンプトンのレドモンドの動きからして、違和感を覚えるようなものだった。右サイドの高い位置から自陣側へ戻るようにドリブルをし、味方のロメウを回りながらワン・ツーのパス交換をした。
このあたりの動きが、恐らく合図になっているのではないだろうか。
この時点で、南野は左サイドから中央に進出しており、FWイングスはやや左サイドに流れている。
レドモンドが前を向いた瞬間、3人のアタッカーが同時にチェルシー最終ラインへ向けて突破をはかっている。左サイドにイングス、中央は南野、右サイドは元々中央に位置取りしていたジェネポが向かう。
3本の槍が襲い掛かった時、チェルシーのディフェンス陣には少々混乱が生じている。
左WBはレドモンドについて行ったため前方に大きく引き出されている。右WBは元々南野をマークしていたが、南野が中央にポジションを変えたことで誰も見ていない状態。
チェルシーの3人のCBは、右のアスピリクエタがイングスを見て、左のリュディーガーがジェネポを見る状態で、中央のズマも左サイドのボールの動きに釣られてそちらをケアしていた。
本来なら中央のズマが南野をケアすべきだったが、南野がサイドから中央へノーマークでポジションを移して来たことに気づけていない様子だった。
結果、サウサンプトンの3人のアタッカーが突破をはかった時に、南野が一番いい形をとることができた。そこにレドモンドからスルーパスが入る。
中央のズマは南野をケアできず、最終的に南野に追いすがったのはイングスを見ていたアスピリクエタだった。
南野は冷静に状況を見極め、追いすがるアスピリクエタとキーパーをキックフェイントで翻弄してゴールを決めた。
このサウサンプトンの攻撃の形は、相手が4バックだったら、完全に3人のアタッカーが数的優位の形をとり、誰か一人は確実にフリーになるに違いない。
相手が3バックでも、今回のように十分に混乱を生じさせて優位を保てる。
そういった狙いのフォーメンションなのだろう。
この一撃は、オウンゴール以外でトーマス・トゥヘル監督就任後のチェルシーから奪った初ゴールとされているが、南野の個人技だけでなく、サウサンプトンとしてのチームとしてのゴールでもあるはずだ。
サウサンプトンは結果的には勝ちきれなかったが、強豪チェルシー相手に勝ち点1を取ると共に、連敗を6で止めることができたのは大きい。しかし、7試合勝ち星なしの状況は変わらず、そろそろ勝ち点3が欲しいところだ。