ベトナム、オマーンに連勝するも、森保一監督の選手起用、采配には疑問

11月のW杯最終予選、どのような選手起用をするべきだったのか

ベトナム戦とオマーン戦、どちらも勝ち点3が必要な試合であることは間違いない。前回ホームの対戦で負けているオマーン戦は、その時のベストで挑む必要があるのは分かる。
しかし、それまで4試合すべて敗戦で最下位のベトナム戦は、新戦力を試すには絶好の機会だったはずだ。ここで28人も呼んだ選手のうち、新戦力やこれまでに出場機会の少なかった戦力を試すべきだった。
また、日本の現状の立ち位置を踏まえると、最終的に得失点差勝負になる可能性もかなりある。このベトナム戦で複数得点を狙って、ある程度攻撃的な布陣を敷くのが、どちらかといえば正解だったように思われる。保守的なメンバー起用の結果、0-1で終わったことを顧みても、それは裏付けられるだろう。

ベトナム戦の選手起用は、こうするべきだったのではないか?

私的な意見になるが、ベトナム戦の選手起用はこうあるべきだったというのを述べさせていただきたい。

まず、GKとCBはそれほどいじる必要性もないので、これまで通り権田修一、吉田麻也、冨安健洋の起用で問題はない。
ただ、先々のためにCBのバックアッパーのことを考えれば、ここで谷口彰悟や板倉滉を先発で試しておく、というのは十分にアリだったと思われる。吉田と組ませてみて、問題があるようであれば、途中から冨安に交代すればいい。
板倉は東京五輪で既に冨安の代役で吉田や酒井と組んでいるし、谷口も少ないながらもこれまでに代表での出場歴はあるので、それほど大きな不安はない。
チャーター機のトラブルで、吉田、冨安、板倉の合流が遅れたことを考えれば、吉田の相方に谷口の先発で良かっただろう。

右SBは、酒井宏樹がコンディション的に問題なければ、森保監督はそのまま酒井を起用したように思われる。結果的に酒井が出場できなかったことで、山根視来が出場したことは良かっただろう。

左SBは長友佑都が先発しているが、ここは絶対的に旗手怜央を先発させるべきだった。
長らく長友の後継者問題が叫ばれている左SBにおいて、新戦力を試せる機会に試さずに終わるというのはいかがなものだろうか? 森保監督が、その場しのぎを優先する考え方をしているのがよく分かる点であり、東京五輪でもその傾向は見られた。
ここは旗手を先発で起用しておいて最後までの予定、問題があるようであればベンチに長友か中山を待機させておいて、途中交代すればいい。

アンカーに遠藤航、これはまったく問題ない。

インサイドハーフには、オーストラリア戦に続いて守田英正と田中碧が起用されたが、ここは片方を別の選手を試しておくべきだっただろう。
南野拓実や大迫勇也もこのポジションは務められるが、本職とは言えない。鎌田大地はこれまでにトップ下や2シャドーを本職をしているので十分こなせるとは思うが、純粋なインサイドハーフの経験はないはずで、この段階で試すのは多少リスクは伴う。
とすれば、今回呼ばれたメンバーの中では柴崎岳か原口元気ということになる。二人ともこのポジションの経験は十分に積んでいる。原口は所属元のウニオン・ベルリンでは4アシストを記録しており、調子の面でも問題はない。
前節で田中が得点を上げていること、守田の合流が遅れたことを考えれば、個人的には田中と原口を押したいところ。しかし、その原口も合流が遅れたので、田中と柴崎の先発が現実的には無難だっただろう。
実際には、森保監督は田中と守田を起用して、守田はこの試合で警告を受けて、累積で次戦が欠場。オマーン戦は守田に代えて柴崎が出ることになった。結果論だが、ベトナム戦で柴崎、オマーン戦で守田か原口というのが正解だったということになるのではないだろうか。

3トップのFWは、順調に合流できたメンバーが5人いる。
三笘薫は先発よりも、相手が疲れ始めた後半からの出場が効果が高いのは、所属元のユニオンの試合を見ていても分かる。
とすれば、先発は右から、浅野拓磨、大迫勇也、前田大然といったところだろうか。ベンチの三笘は後半開始か15分あたりからの出場、伊藤純也と古橋亨梧もベンチで待機しておいて状況を伺う体制で。
ベンチに余裕があれば上田綺世を置いておいて、セーフティリードを築ければ大迫に代えて出場させたいところだった。上田を使うならベトナム戦であり、呼んだのにノーチャンスというのはよろしくない。

スタメン
GK 権田修一
DF 山根視来 吉田麻也 谷口彰悟 旗手怜央
MF 田中碧 遠藤航 柴崎岳
FW 浅野拓磨 大迫勇也 前田大然

ベンチ
GK 川島永嗣 谷晃生
DF 冨安健洋 板倉滉 中山雄太
MF 守田英正 原口元気 鎌田大地(もしくは上田綺世)
FW 伊東純也 古橋亨梧 三笘薫

浅野やJ1得点ランキング1位の前田にチャンスを与えて、結果を残せばオマーン戦でも使う。
長友の後継問題が叫ばれているのであれば、旗手を使って試してみる。中山の目処が立ちつつはあるが、そこに旗手も加えて層の厚みと競争による相乗効果を期待する。
CBにしても、吉田と冨安の2人が常時万全とは限らないのは、東京五輪を見ても明らかだ。板倉は控えの一番手だが、もう一枚計算できる選手は欲しい。となれば、このベトナム戦で谷口を使わない手はなかったはずなのだが。
MFの3枚の幅も広げておきたい。原口か鎌田を途中交代ででも使って、テストをしておく必要はあったはず。
順調に合流できていた三笘すら、この試合で起用していない。20分程でもいいから使っておいたらどうだったろうか? スコアは動いていたかもしれないし、オマーン戦に向けていい調整にはなったはずだ。

森保監督には、そういった先のことを考えた選手起用がまったくない。
東京五輪でも、冨安のコンディション不良や出場停止、酒井宏樹の出場停止がなければ、おそらく板倉のCB起用と橋岡大樹の出番はなかったのだろう。
その場しのぎ的に常に主力ばかりの起用では、先に向けたチーム力の強化がはかられるはずもない。目の前の一戦が大事なのは間違いないが、先の戦いも見据えなければならないはずなのだが。
ベトナム戦はそういったことを試す余地のあった試合だが、結果的にはいつもの主力の選手起用の末にロースコアでの辛勝となった。

オマーン戦の選手起用は、こうするべきだったのではないか?

オマーン戦は、前回ホームで負けていることを踏まえても、ベストメンバーの主力中心の先発構成になるはずで、ベトナム戦のように合流遅れのメンバーもいない。

GKとCBは、従来どおりの権田修一、吉田麻也、冨安健洋。

右SBは、ベトナム戦の出来次第で、山根視来の継続か室屋成のどちらかが先発で、どちらかがベンチ。
左SBは、これもベトナム戦の出来が良ければ旗手怜央の先発継続で中山雄太がベンチで待機、旗手のベトナム戦の出来が悪ければ中山雄太の先発でベンチが長友佑都。

アンカーの遠藤航は不動。
インサイドハーフは田中碧と守田英正、もしくは原口元気を先発で試してみてもいい、所属クラブでの様子を踏まえれば原口は十分に計算できる。
ベンチは守田か原口の先発しなかった方と、ゲームメーカーの控えとして鎌田大地。
実際には、森保監督はベトナム戦で守田を使っており、この試合でイエローを受けた守田は累積でオマーン戦は出場停止になっている。その状況であったとしても、柴崎ではなく原口を先発させたいところだった。

FWは右から、伊藤純也、古橋亨梧、前田大然。
ベトナム戦の出来次第では、左は前田大然の先発はありだろう。前半に前田のスピードで相手を疲弊させたところに、後半から三苫の投入というのは効果的なはずだ。
前田のベトナム戦の出来が悪かったなら、南野拓実の先発。交代のタイミングによっては、CFに南野を回してみるのも一つの手だ。やはり南野はサイドプレーヤーではなく、中央で生きる。
ベンチは右の控えで浅野拓磨、CFの控えで大迫勇也。交代のタイミングは、先発メンバーの疲労や展開次第で。

スタメン
GK 権田修一
DF 山根視来(室屋成) 吉田麻也 冨安健洋 旗手怜央(中山雄太)
MF 田中碧 遠藤航 守田英正(原口元気)
FW 伊東純也 古橋亨梧 前田大然(南野拓実)

ベンチ
GK 川島永嗣 谷晃生
DF 室屋成(山根視来) 板倉滉 中山雄太(長友佑都)
MF 原口元気(守田英正) 鎌田大地
FW 浅野拓磨 大迫勇也 三笘薫
他2名 谷口彰悟 前田大然(南野拓実) 柴崎岳 堂安律

上田と堂安は無理して呼ぶ必要もなかったのではないだろうか。特に堂安はケガから復帰したばかりなのに、追加招集されている。

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