無得点引き分けも久保の成長の証が見られたビジャレアル戦

無得点引き分けも、内容十分の久保建英のビジャレアル戦

久保は4-4-2の右サイドハーフのポジションでゲームに入る。

試合序盤にビジャレアルが攻撃を畳み掛けてきたが、マジョルカはここをなんとか耐えしのぐ。
その中で、久保も2度ほどボールの奪い合いで相手と対峙したが、当たり負けをせずにボールを保持、あるいは奪い取っている。

23分に右サイドからのFK、久保がスルーしてサルバ・セビージャが蹴ったボールは、フェル・ニーニョがフリーで収めてシュートを放つがバーの上を越える。トラップでうまく収まらなかったことでディフェンスのプレッシャーを受けてしまった。決められなかったフェル・ニーニョは頭を抱える。

24分の右CKは久保が蹴るが、上手くいかず。
26分には、サイドチェンジのボールを右サイドで受けて仕掛けるが、ボールロストしてしまった。

29分、ビジャレアルの攻撃を凌いで、GKからカウンターの流れ。左サイドを持ち上がるダニ・ロドリゲスに対して、右サイドフリーで上っている久保は前方にボールを出してもらえるように促すが、ボールは出ない。結局、ロドリゲスがそのまま中途半端な位置からミドルを放って、ゴールを外した。
久保の要求どおりにボールが出ていれば、決定機を演出していた可能性は高い場面だっただけに、非常にもったいない。

30分、ビジャレアルが左サイドを抉って、ゴール前へのグラウンダーのクロス。ボーレイ・ダイアのシュートはミートしなかったが、枠には入っているためにGKにとって難しいボールになる。これをGKマノロ・レイナは精一杯腕を伸ばして、なんとか防いだ。
マジョルカとしては、ここが一番危ない場面だったかもしれない。

33分、味方が競り合いから奪ったボールを、久保が相手2人をかわしてサイドライン際を突破する。一昨年のマジョルカではよく見られたような場面。

41分に右サイドからのFKを久保が蹴るが、ゴール前に放り込んだボールはGKに直接取られた。少し長かったか。

44分、久保がこぼれ球を拾って、相手陣内に入ったところで2人マーカーがついた状態、横パスをした直後に潰されるが、ファールをもらう。

前半アディショナルタイム2分には、自陣で奪ったボールからのショートカウンター。右サイドを上がる久保にパスが出て、ドリブルでエリア内へと侵入する。マイナス気味に折り返したボールに、手を上げて呼び込んだダニ・ロドリゲスがペナルティアーク右隅からシュートを放つ。枠の右上隅を狙ったシュートは、わずかに上に外してしまった。
絶好の決定機だっただけに、シュートを外したロドリゲスも、パスを出した久保も両手で顔を覆って悔しがる。

ハーフタイムでの交代は、両チームともになし。

47分、久保のパスカットからショートカウンター。パスを繋いで、最後はフェル・ニーニョが角度のないところからシュートしたが、枠を捉えられない。

51分、ショートカウンターからパスを受けるが、すぐ背後にマーカーが迫っている状態。潰されながらも、前方にスルーパスを出したが、決定機にはつながらなかった。
プレー後倒れたままの久保は痛そうで、しばらくは立ち上がれない。

65分、中盤左サイドからのFKをサルバ・セビージャが浮かしたボールをゴール前に送るが、味方のヘディングが惜しくも届かず。GKがそのままボールを収めた。

56-7分にビジャレアルは4枚替え、マジョルカも60分に2枚替え。両チームともに攻撃の選手を中心に入れ替えて、活性化をはかる。

直後の66分、モイ・ゴメスにエリア内に侵入され、それをブリアン・オリバンが倒してヒヤッとしたが、主審の笛は吹かれずVARの介入もなし、ノーファールでプレーは続行された。

80分、敵陣右サイドでボールを奪ったダニ・ロドリゲスが、そのまま単独でサイドライン際を突破すると、ニアサイドまで侵入する。クロスのボールは目の前に立ちふさがった相手に当たって、エリア内に跳ね返る。そのボールを拾った久保が、ペナルティアーク付近から強烈なシュートを放つも、立ちふさがったディフェンスの壁に跳ね返された。
ゴール前でFWのような振る舞いの久保の姿は、見ていて頼もしい。

強豪ビジャレアルを相手に、ここまでスコアレスで来ただけに、なんとか1点欲しいと思って見ていたところで、絶好機が訪れる。
82分、自陣中央で久保はパスを受けるも、その時点で相手3人に囲まれている状態。
そこから間を通してダニ・ロドリゲスにパスを送ると、速攻が始まる。右サイドにパスを送ると、折返しのクロスにロドリゲスが飛び込むも届かない。背後のファーサイドに構えたマシュー・ホッペがダイレクトでゴールに流し込むも、惜しくもオフサイド。
絶好の決定機をものにしただけに、オフサイドのショックも大きかった。

83分、ハーフウェーライン付近で奪ったボールからの攻撃で、右サイドにボールが出て久保が中に折り返す。相手3人のマークが付きながらゴール前に通したボールは、枠にも収まらず味方にも合わなかった。その後の久保のジェスチャーからすると、ファーサイドのマシュー・ホッペに飛び込んでもらって、スライディングシュートを撃ってもらいたかったように見える。

85分、近い距離でボールを受けた久保がすぐに倒れたが、これはファール。ダニエル・パレホに足を踏まれたか。

87分、センターサークルで久保が奪ったボールからショートカウンター。中央突破をはかるも、人数をかけて守るビジャレアルの守備に潰される。

88分、右サイドの守備に全力で走ると、味方2人とのマークでボールを奪う。カウンターのドリブル中に潰されるも、ここはファールをもらう。

90分にイ・ガンインとの交代で、久保は退いた。

ざっとこんな感じで、試合を振り返ってみても、以前のように簡単に潰されてボールをロストするような場面はひとつもなかった。潰されている場面はほとんどファールで、そのファールをもらう数や頻度も以前に比べれば少ない。ボールをキープできて、味方につなぐ数が増えている。
守備の貢献度も高く、攻撃だけではなく、攻守両面に渡って活躍できている。

スコレスのドローで得点もアシストもなかったが、勝った試合よりもこの試合の方が内容の充実度では満足のいく試合だったように見える。
シーズン序盤のこの時期に、これまで課題となっていた部分に克服の目処、兆しが見えたことは、なによりも大きな収穫となった。

ここまで5試合、久保自身にまだ得点もアシストもないが、ここまでチーム3得点という現状を踏まえれば、あとはタイミングのめぐり合わせだけとも言えるだろう。

マジョルカは2勝2分け1敗の勝ち点8で9位と上々のスタートを切っている。
詳細を見ると、勝った相手は20位アラベスと16位エスパニョール、引き分けは11位ベティスと14位ビジャレアル(※)、敗けた相手は5位ビルバオと、順位表通りの対戦結果になっているのがおもしろい。
次節は首位で久保の所属元のレアル・マドリードだけに、勝ちを拾うのは難しいが、今節同様に内容の面で結果を出したいところだ。
 ※1試合消化が少ないが、その試合を勝ったとしてもマジョルカよりは下の順位

<次ページ>マジョルカの決定機を久保建英が創出(動画)

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