らしさが光った南野の移籍後デビュー弾

前節でマンチェスター・ユナイテッド相手に1-9の大敗を喫したサウサンプトン。プレミアリーグ第23節ニューカッスル戦で、南野拓実は先発でデビューすると、ゴールを決めてフル出場した。

前半29分、左サイドで見方がライン際でボールを持つ展開で、やや左前方を並走していた味方がゴール前へとポジションを移していったのを見て、南野はそれと交差するようにサイド側にポジションを変える。南野が相手選手二人の狭い間を通って顔を出すと、サイドからタイミングのいいパスが入った。
相手DFのうちの一人は、ゴール前にポジションを変えていった選手の動きを見て、そこに別の選手が表れるとはまったく思っていなかったようで、完全に虚をつかれていた。南野はそれを狙って、狭いところをあえてくぐり抜けている。
前方へのやや大きめのトラップで、虚を突いたDFと寄せてきたサイドバックの間を抜けて、角度のついた位置からゴールネット上部へとボールを突き刺した。

南野らしさが光ったゴールシーンだった。
リプレイを改めて見ても、南野は周辺に3人は敵がいる中を、縫うようにしてパスを受けるスペースにポジションを移し、抜けだしてシュートしている。狭いスペースでもボールを受けてシュートにつなげる、南野の特徴がよく出た場面だ。

結果的に囮になった味方の動き、南野の小さな動きを見逃さずにタイミングよくパスを入れたサイドの選手と、味方との連携や呼吸も十分なものだった。
移籍後のわずかな日数で、ここまでの連携ができるまでになったのは見事なもの。それに加えて、事前に想定されていた通り、サウサンプトンのプレースタイルが南野に合っていたということなのだろう。

ゴールのシーンももちろんのこと、サウサンプトンでのデビュー戦で、ザルツブルク時代に生き生きと躍動していた南野の姿が蘇ってきた感じがした。
残念ながらそれは、リバプールではなかなか目にすることができなかったものだ。

移籍直後の会見で、リバプールのクロップ監督は「サウサンプトンで期待することは何か?」と問われて、「ただフットボールを楽しんでくれればそれでいい」とコメントしていた。
クロップは南野の素質や実力に疑念は抱いてはいない。リバプールでは状況的に出場機会を与えられないが、サウサンプトンならフィットして活躍できることを確信して送り出している。そして、それが南野のリバプールでの将来につながるはずだ。

試合の結果としては、後半開始早々にレッドカードで1人少なくなり、後半34分には交代枠を使い切っていたことで負傷退場者の交代ができなかった相手に対して、2-3で敗れてしまったのはいただけない。
だが、デビュー戦の南野としては、十分な活躍を示すことができたゲームだった。

何より移籍後早々にゴールという結果を残したことは大きい、南野の気持ち的にも、チームメイトからの信頼という意味でも。それは、リバプールでは長らく待たねばならないことだったのだから。

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