U-24五輪代表メンバー構成考察&海外移籍動向

五輪組の移籍動向

オーバーエイジ枠の3名を除いた24歳以下の19名のうち、7名が既に海外クラブに所属している。冨安健洋、久保建英、三好康児、堂安律、この4名の移籍情報は既に別記事で述べているため、残り3名の移籍動向を紹介したい。
また、国内組のメンバーに関しても五輪での活躍から海外移籍につながる選手は出てくるはずだ。フロンターレの田中碧や三笘薫は、このタイミングでの海外移籍の希望が強いと言われていたが、二人とも既に移籍先が決まって発表されている。

板倉滉

2019年冬に、川崎フロンターレからイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティへ完全移籍。A代表歴の経験のないことで労働許可証が取得できない関係からオランダ・エールディヴィジのフローニンゲンへレンタルしてのプレーとなった。
フローニンゲンで2シーズン半を過ごし、今季はCBのレギュラーとして活躍、シーズン終了後にクラブの最優秀選手にも選出された。

マンチェスター・シティとしては、板倉をプレーさせるつもりで採っていないのは明らか。安いうちに原石を買って、磨いて(レンタルで育てて)、それなりの値段で売る方針。もちろん、予想外の成長を遂げれば、シティでのプレーの機会がないわけではない。
シティに完全移籍と聞いて、それまで板倉のことを知らなかったが「マンチェスター・シティに目をつけられるだけでも、将来有望な素質を持っているんだな」と注目した記憶がある。

オランダで順調に成長した感はあるので、そろそろステップアップしたい時期だと思う。
今の所聞こえてくる噂は、「フローニンゲンが来季の所属も求めている」「セルティックが獲得を検討」といったもの。
前者については、フローニンゲンでやることはやり尽くした感があるので、今後の成長を考えるとどうだろうか。ただ、シティが新型コロナの影響や大物採りのために保有資産売却に動いて、板倉も対象になればフローニンゲンは買い手としては有力な候補になるかもしれない。
後者については、新監督が横浜F・マリノスの元監督ということから、複数の日本人選手の名前が挙がっているうちの一人にすぎない。板倉のステップアップ先として、スコットランドリーグというのもどうだろうか。

個人的には、フローニンゲンではセンターバックとして定着しているが、U-24代表でのプレーを見ても、今後のことを考えても、ボランチの方が向いている気がする。五輪ではボランチでの出番となることが予想されるため、ここでボランチとしてアピールして、ボランチとして戦力に考えてくれるチームに移籍するのがいいのではないだろうか。
とにかく、五輪本番で活躍をして、良いオファーが舞い込むことを期待したい。

中山雄太

経歴的にも、ポジション的にも板倉と似たところが多い中山。
板倉と同じタイミングの2019年冬に、柏レイソルから、こちらもオランダ・エールディヴィジのズヴォレへ完全移籍し、2シーズン半を過ごした。
ボランチ、センターバック、左サイドバックと複数ポジションながら、今季リーグ戦32試合、カップ戦1試合とレギュラー並みの活躍。
中山もステップアップの時期にあるが、今の所移籍の噂は聞こえていない。

橋岡大樹

今年の1月に、浦和レッズからベルギー1部のシント=トロイデンにローン移籍。
移籍したばかりで、契約も来シーズン末まであるため、このタイミングでの移籍はないと思われる。

田中碧

五輪後、少なくとも開催中と思っていたが、五輪前に海外移籍が決まった。
移籍先がドイツ・ブンデスリーガ2部のデュッセルドルフということで、アペルカンプ真大とチームメイトになる。川崎フロンターレからの買取オプション付きのレンタル契約。

田中のポテンシャルを考えると、ドイツの2部というのはどうなのだろうか、という疑問は感じずにはいられない。五輪での活躍はほぼ間違いないと思われるので、他の優良オファーを待っても良かったのではないかとも思う。5大リーグ1部の中堅・下位クラスのオファーは得られただろう。
ただ、インタビューを見ると、本人的には納得をして、新シーズンが始まる前に契約をまとめることが大事だという考え方のようなので、そこは尊重したい。

デュッセルドルフは今季2部を5位で終え、1部昇格を逃した。
田中にとっては、遠藤航のように1シーズンでチームを昇格させて、1部の舞台に立つことができれば理想的。
仮に昇格を逃した場合、買取オプションのところの契約がどうなってるのかが気になるところで、デュッセルドルフが昇格を逃した場合でも、本人の活躍次第では他チームからオファーがあった場合移籍ができる状態なのだろうか。

三苫薫

田中と同じく五輪後、あるいは開催中の契約になるかと思っていたが、三苫も五輪前に海外移籍が決まった。
移籍先はイングランド・プレミアリーグのブライトンで完全移籍の4年契約。推定ながら移籍金は300万ユーロ(約3億9000万円)、年俸4年総額7~14億円(出来高による)という大型契約。
A代表未経験のため、労働許可証が降りない関係から当面は他リーグでの武者修行となる。レンタル先は、ブライトンのオーナーが所有し、ベルギー2部から1部に昇格するユニオン・サン=ジロワーズが有力。

契約内容から察するに、ブライトンとしては三苫を完全に将来的な戦力として見なしており、そのために育成する方針なのだろう。
プレミアリーグにデビューするためには、他リーグとA代表で活躍をして、労働許可証の発給を受ける必要があるが、十分にそれが可能と見ていると思われる。

五輪後の海外移籍は?

国内所属チームの選手は以下の10名、このなかから五輪の活躍を足がかりに、海外移籍が決まる選手も出てくるのではないだろうか。

GK 大迫敬介 サンフレッチェ広島
GK 谷晃生 湘南ベルマーレ
GK 鈴木彩艶 浦和レッズ
DF 旗手怜央 川崎フロンターレ
DF 町田浩樹 鹿島アントラーズ
DF 瀬古歩夢 セレッソ大阪
MF 相馬勇紀 名古屋グランパス
FW 前田大然 横浜F・マリノス
FW 上田綺世 鹿島アントラーズ
FW 林大地 サガン鳥栖

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