U-24日本代表のアルゼンチン戦を総括

U-24日本代表は、3月26日、29日にアルゼンチンと2連戦を実施した。
時期的にオリンピックを目前に控え、チームとしてのテストと選手選考を兼ねた意味合いが強い。

1戦目は前半をアルゼンチンに押し込まれて失点、後半は日本が押す展開になったが、アルゼンチンが守備重視にしてしたたかに1点を守り切った。
南米予選1位通過の強敵を相手にして、試合全体として日本は浮足立った印象があり、各選手の良さはあまり発揮できていなかった。特にフィニッシュの精度を欠いて場面は多くみられ、相手のプレッシャーを受けてなのか、枠を捉えきれないことが多かった。

2戦目は全体的に日本優勢の展開、板倉洸、田中碧のボランチコンビが中盤を制して、瀬古歩夢と町田浩樹のCBコンビから前線にダイレクトのボールが供給された。そのボールを受ける林大地が走り回り、先制点もこの展開からゴールが決まった。
この試合では、最後列から最前線までが上手く連動していた印象で、アルゼンチンに与える隙は多くはなかった。
後半には左コーナーを蹴った久保建英から、板倉がダイレクトにヘッドで決めるという場面が2度続き、3-0のクリーンシート完勝したと言ってもいいのではないだろうか。
前戦は強豪アルゼンチンに圧倒された面はあったが、チーム全体として中2日の短期間で上手く修正できた感がある。

久保建英は、このチームではチームの中心としてトップ下に据えられていることもあり、所属チームよりも自信に溢れ、プレーの幅も広かった。外しはしたが強烈なミドルシュートを見せ、コーナーキックから2点をアシスト。セットプレーでは、やはり直接狙うよりも味方をうまく使うことを考えた方が、現状ではいいだろう。

今回の2連戦はホームの利があったのは確かだが、それは本番も同様なので問題はない。強敵を相手に中2日で修正できたことは、短期決戦になる本番にも十分に活かせる経験になるのではないだろうか。

オーバーエイジの候補

オーバーエイジ枠を使うのであれば、まずはフォワードの大迫。A代表日韓戦を見ても分かる通り、日本代表においてワントップの大迫のポストプレーは必要であり、現状他の追従を許さない状況にある。所属元のブレーメンで絶対的な存在ではない現状からすると、本番の招集に難色を示すこともないだろう。
二列目はタレントが豊富で、今回招集見送りになった堂安もいることもあり、ここは該当年代の人材で十分なはずだ。
ボランチは現有戦力でもいい線いっているが、遠藤航が入るのであれば心強く、強力な補強になるはずだ。久保と三好のゲームメーカーがいるので、柴崎岳の出番は必要ない。

ディフェンダーは、今回A代表に回った冨安が加わるので、大きな上積みが期待できる。オーバーエイジで入れるとすればCBの吉田麻也、冨安とのコンビはA代表で十分に実績を重ねているので申し分ない。
ゴールキーパーは川島永嗣か権田修一のベテランが入れば実力的にも経験的にも心強く、後方からの安心感の効果は大きいかもしれない。
ディフェンダーかゴールキーパーで1枠使う形になるのではないだろうか。

オリンピック本番のメンバー選考

本番のオリンピック代表のメンバー選考を考えると、実績から言って久保建英と堂安律、冨安健洋は確定と見ていいだろう。

以下、今回のアルゼンチン2連戦の結果も加味して考える。
板倉洸はほぼ確定と見て間違いだろう、2戦目のボランチとしての働きは守備の強度でもコーナーキックから2得点を決めた決定力でも合格点だ。強敵アルゼンチンを相手に、ボール奪取の場面、ゴール前での競り合いで、気迫の面で負けていないのは頼もしい。特にあのゴールは相手の戦意を奪う効果のあるゴールの決め方だった。1戦目のCBでの守備には若干不安な点も見せたが、ボランチ・CB・SBをこなせるユーティリティ性は18人しか登録できないオリンピックのメンバーとしては有用だ。今回の中二日2連戦で連続スタメンは久保と板倉のみ、この二人は当確と見て間違いないだろう。
同じく守備のユーティリティ性の高い中山雄太は、個人的には今回はアピール十分とはいかなかったと思う。このチームの実績とユーティリティ性から言って有力候補ではあるが、オーバーエイジ次第では…… ということはあるかもしれない。
1戦目が出場停止処分で、2戦目のみ出場の田中碧が圧倒的な存在感を発揮して当確を勝ち取ったのではないかと思われる。
そうなると、ボランチは田中碧、オバーエイジ枠で遠藤航、これに板倉洸の3人で十分ということになる。仮にCBはオーバーエイジで吉田を使うとすれば、冨安の他に本職のバックアッパーが1人いれば、あとは万が一の備えの板倉で十分ということになるのではないか。板倉は所属チームのフローニンヘンで、CBを務めている。中山は当落線上にいると思った方がいいだろう。

注目の三苫薫は、チーム全体として不調気味だった1戦目に出場したこともあるが、上手くアピールできなかった。2戦目も途中交代の時間が遅く、1戦目を受けてどう修正できたのかを確認するほどではなかった。今後の試合に期待したい。久保、堂安の2人が中央か右サイドの選手なので、左サイドの本職としてはチャンスがあるか。ただし、2戦目の相馬勇紀が良かっただけに、それ以上のアピールがなければメンバー入りは難しいだろう。
三好康児は当落線上だと思われる。堂安不在のチャンスだったが、アピール十分とは言えなかった。メンバー入りは、今後にかかっている。

2戦目の瀬古歩夢と町田浩樹のCBコンビから前線へのパス供給は見ごたえがあった。先制点は、その瀬古から最前線への林大地へのダイレクトパスで生まれた。瀬古のフィード力はもちろんだが、ディフェンスラインの押し上げてコンパクトになった陣形がそれを可能にしているわけで、試合開始から日本が優位に推し進めた結果が前半終了間際に結実した。
先述の通りCBの本職は残り一枠と考えられるので、瀬古はいいアピールをしたが、この先もさらなる上積みが欲しいところだ。
林は追加招集ながら非常にいい働きをした。精力的に走り回り、強度的に十分で、ワントップとして十分な働きだった。ゴールも決めて結果を出して、今回招集のフォワードとしては文句なしで一番のできだった。ただし、今回未招集のライバルや大迫のオーバーエイジ枠の可能性を考えると、フォワードの争いは激しい。次のチャンスにも結果を出して、実績を上乗せしたいところだ。

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