UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ新設の欧州カップ戦の概要

欧州カップ戦は、これまでのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)、UEFAヨーロッパリーグ(EL)に加えて、今シーズンから新設されるUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)が加わった。これまでの2段構えのカップ戦構造から、3段構えになる形だ。

UEFAチャンピオンズリーグとUEFAヨーロッパリーグの位置づけ

CLは、前身のヨーロピアン・チャンピオン・クラブズ・カップ(ヨーロピアンカップ、チャンピオンズカップ)が各国リーグの優勝チームのみが参加して、欧州クラブNo.1を決める大会という明確な位置づけがあった。
現在のCLは、各国リーグ間の実力差を考慮して、UEFAランキング上位リーグからは優勝クラブ+成績上位のクラブ、下位リーグの優勝国は予選ラウンドからの参戦、といった感じで調整ははかられているが、欧州クラブNo.1を決める大会という位置づけは変わらない。

それに対してELは、各国リーグの成績上位クラブの大会であったUEFAカップに、各国のカップ戦優勝クラブの大会であったカップウィナーズカップを吸収統合する成り立ちをしている。
CLの内容変更に合わせてELの内容も変化しているが、「各国のカップ戦の優勝クラブ+各国リーグの成績上位クラブ(※)」構成の大会になっている。
大まかな位置づけとしては、「欧州第二の大会」といったところ。
 ※CLグループリーグ3位クラブがEL決勝トーナメントに参加する仕組み加えて、ここ数年はCL予選ラウンド敗退チームがEL予選ラウンドにに回るようになったこともあり、CL残念組と言えなくもない。

これまでにも、ELの存在意義に疑問を唱える声は少なからずあった。
曰く「欧州のNo.1を決める大会が2つあるのはいかがなものか?」「CLがあるのだから、ELは不要ではないか?」といったものだ。

ただ、CLに出場できないクラブ、CLに出場してもグループリーグ突破ができないようなクラブにとっては、活躍あるいは優勝を目指せるような欧州の大会がもうひとつあることは、有意義なことだ。特に予選ラウンドが導入されてからは、UEFAランキング下位の国ほど国内リーグに優勝してもCL本戦にはなかなか出場できないということになり、その受け皿としてELの意義は大きい。
例えば、ドイツの中堅クラブであるフランクフルトは未だにCLに出場していない(※)が、2018-2019シーズンにELで快進撃を続けてベスト4まで勝ち進んだ。個人的にも見ていてワクワクしたし、フランクフルトの選手はもちろんのこと、勝ち進むにつれてドイツ国内の他のチームの選手からも注目や応援され、非常に盛り上がった。
 ※チャンピオンズカップ時代に出場(準優勝)しているが、CLに名称が代わってからの出場歴はない

新設されるUEFAヨーロッパカンファレンスリーグとは

欧州の大会が2つあることにも、疑問の声が少なからずあるのに、さらに第3の大会であるUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)が新設されるのは、どういうことなのだろうか。
一言で言ってしまうと、UEFAランキング中下位のリーグから「欧州カップ戦の出場機会を増やすように」という要求が強かったから、ということのようだ。

実際に昨シーズンまでの状況だと、CL本戦に出場しているのはUEFAランキング10位前後までのリーグで、EL本戦に出場しているのはUEFAランキング20位前後までのリーグが大半を占める。EL本戦にはUEFAランキング40位程度のリーグからの出場もあるが、それは予選をかなり勝ち抜いての結果だ。

ECLの予選の仕組みを見ると、UEFAランキング30位くらいまでのリーグに本戦出場のチャンスは十分にありそうで、それ以下の順位のリーグは予選の勝ち抜き具合によるといった感じになりそうだ。
確かに、UEFAランキング中下位のリーグからの出場チャンスは増すことになる。

それにしても、名称はもうすこしどうにかならなかったのだろうか、と思わずにはいられない。「UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ」と長ったらしいのと、「UEFAヨーロッパリーグ」と混同しやすいデメリットが。
略称も以下の感じで、さらにヨーロッパリーグと混同しやすい。「ヨーロッパ」の単語を入れて、欧州の大会というのを強調したのかもしれないが。

・UEFAチャンピオンズリーグ … CL,UCL
・UEFAヨーロッパリーグ … EL,UEL
・UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ … ECL,UECL

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