森保一監督の選手起用には疑問、これではW杯本番に向けては不安
11月のW杯最終予選2連戦を見て、森保監督の選手起用には本当にがっかりした。あまりにも保守的すぎて、今後に対して何も期待が持てないということが、選手起用から伺えるからだ。
ベトナム戦の先発メンバーで、前節のオーストラリア戦から変更があったのは、右サイドバックが酒井宏樹から山根視来のみ。変更理由も、酒井の負傷によるものだ。
オマーン戦でも、守田英正から柴崎岳への変更のみ、理由も守田の累積出場停止によるもの。JFAのリリースでは、守田の離脱は「クラブ事情のため」となっているが、オマーン戦には出場できないため、週末のクラブの試合に備えるため早期離脱したと思われる。
選手交代を見ても決まっており、ここ3戦で毎回途中出場したのは、中山雄太、浅野拓磨、古橋亨梧の3人。他にこの3戦で途中出場したのは、柴崎、原口元気、三笘薫だけだ。
つまり、直近の3試合で起用された選手は、総数19人しかいないのだ。
この2試合に向けて招集されたのは、追加招集の堂安律を含めて28人いるが、これだけ呼んでおいて1度も出番がなかったのが9人もいる。GK2人と、怪我明けの堂安、システム変更のアオリを受けた感のある鎌田大地あたりは、あるいは納得できるかもしれない。それ以外の5人の心境はいかがなものだろうか。特に、旗手怜央、上田綺世、前田大然の3人はベンチ入りすら果たしいていない。
これで控えメンバーのモチベーションは保てるのだろうか?
これでは、チーム内での競争、新戦力の台頭、世代交代、バックアッパーの育成、といったものが何も起こるはずもない。
固定メンバーを使い続けることの弊害は、ことW杯に絡んだ話では、クラブや他の代表の試合よりも悪影響が強い。固定メンバーを使い続けることの弊害は、2014年ブラジル、2008年ドイツの両大会の前例を見れば分かるはずだ。特に、ドイツ大会では控えメンバーのモチベーション低下が、チームの崩壊を招いた面も否めない。
一方で、W杯本戦で成功を収めた2002年日韓共催、2010年南アフリカ、2018年ロシアの3大会を見れば、メンバーの入れ替えが好結果を生んでいることは十分に分かる。
2002年を指揮したフィリップ・トルシエ監督は実績にはあまりこだわらなかった。直前の調子を重要視し、調子が良ければ必ず試合に起用し、これがチーム状態の向上に大いに寄与している。2010年を指揮した岡田武史監督は、本番直前でシステムを大幅に変更し、それ以前までチームの主柱だった中村俊輔を外すことも厭わずにメンバー入れ替えた。2018年は本番直前にヴァヒド・ハリルホジッチ監督から西野朗監督に変わったことで、メンバーや試合での選手起用はそれまでから一変。グループリーグ最終節でのターンオーバーも有効に活用した。
一方の森保監督はというと、東京五輪からその傾向は見られたが、主力の固定メンバーに頼り切った選手起用で、先発メンバーの変更は負傷か出場停止によるものに限られている。選手交代もお約束になっており、交代で出る選手も毎回同じような顔ぶれだ。
これでは、対戦相手に読まれやすく、対策も容易だろう。
チーム内ではメンバー入りはするものの出場機会がまったくない選手も多くおり、そういった者の不満は大きくなるばかりだろう。特に所属クラブを断続的に離脱して代表に合流する必要があるW杯予選おいてはその弊害は大きく、本戦ともなれば募る不満は大きなものになるだろう。