東京五輪のグループリーグ最終節、日本はフランスに4-0で勝利して、グループA 1位での決勝トーナメント進出を決めた。
試合展開
冨安健洋が初出場で定位置のCB、旗手怜央が左サイドハーフに入って、左サイドバックはこれまで通りの中山雄太、ワントップは上田綺世がスタメン起用された。
立ち上がりはフランスが主導権を握るも、時間の経過とともに日本がペースを握る。
27分に、ハーフウェーライン付近から田中碧が入れた縦パスを受けた久保が、上田にパス。上田は立ちふさがるディフェンス2枚を右に交わしながらエリア内に侵入すると、そのままシュート。キーパーに弾かれたボールを、久保がゴール正面で拾ってダイレクトシュートでゴールに押し込んだ。
こぼれ球を拾った久保のフィニッシュも見事だが、その前の田中の縦パスと上田のシュートまで持ち込む動きが秀逸。
久保の3戦連発先制弾で、日本がリードを奪う。
34分、右サイドで酒井宏樹が奪ったボールからのショートカウンター。遠藤航、久保、旗手と小さくパスをつなぎ、最後に久保が前線にパスを送ると、上田はペナルティーアークから左足でシュート。前に出ていたゴールキーパーに弾かれてこぼれたボールを、走り込んで来た酒井がゴールに流し込んだ。
前半のうちに立て続けに2ゴールを決めて、セーフティーリードを築いた日本のメンバーに笑顔が広がる。
2本とも、上田のシュートのこぼれ球からゴールに繋がっている。相手の足に当たってコースは多少変わっているが、久保のラストパスも正確だ。
4点が必要なフランスは前掛かりになるが、空いた裏のスペースを使える日本が優位に試合を進めていく。
1ゴールと決定機を演出した久保はお役目御免で、後半開始から三好康児と交代。
55分に、累積で次戦出場停止の酒井代えて、橋岡大樹が初出場。次戦でフル出場が見込まれる橋岡の調整目的と思われる。
後半開始からフランスの攻勢にピンチも迎えるが、ゴールは割らせない。
70分、中山から浮き球のパスを上田が受けて旗手に戻す。旗手がペナルティーアーク付近にぽっかり空いたスペースにボールを転がすと、そこに三好が走り込んでうまくシュート。グラウンダーのボールはキーパーの手をすり抜けて、ゴール左隅に決まった。
3点にリードを広げた日本は、累積警告1枚で主力の遠藤と堂安律を下げ、代わりに板倉滉と相馬勇紀を入れる。
73分に、試合後も話題となる三好が足を踏みつけられた場面が訪れる。
イエローが提示されたものの、オンフィールド・レビューのチェックの結果、レッドに変更されて一発退場となる。
リプレイを見ると、三好が左足でボールを保持している状態で、ボールのない右足を踏みつけている。
ただ、開いた三好の右足の位置を確認できていなかった可能性もあり、フランスの選手の視線は上方向のまま小さくステップを踏んで三好に追従する形になっている。そこに右足があると分かっていないまま踏みつけてしまったようにも見えなくはない。
ただ、故意ではなかったにしろ、相当な衝撃で三好の膝下を踏みつけており、同情はするがレッドは妥当と言える。危険な行為であることには間違いない。
アディショナルタイムにも、カウンターから相馬のラストパスを、80分に田中碧に代わって途中出場した前田大然が流し込んで4点目。
冨安の調子は問題ないようでフル出場した。これで決勝トーナメントを使っていく目処は立ったのではないだろうか、コンディション的に問題なければ、準決勝、決勝には間違いなく必要な戦力になる。
同じくフル出場した上田も復調したと見ていいのだろう。この試合ではゴールはなかったものの、前線での働きは十分すぎるほどだった。
旗手もフル出場で、ようやく長い時間出場したが、攻撃面での貢献度は高い。田中が退いてからは、中山がボランチに移って、旗手は左サイドバックを努めている。ポリバレント性と攻守両面での働きも貴重だ。
南アフリカ相手に4点とったフランスを相手に、守備陣も安定した働きでスコアレスに抑えたのはさすがだ。
結局フランスは、招集面で思うように行かなかったというのもあるが、チームとして連携などのまとまりが不足していたのだろう。メキシコには4-1の敗戦、南アフリカには勝ってはいるが後半途中からの乱打戦となっての4-3の辛勝だった。
チームとしての準備期間の長かった日本に比べれば、万全の体制とは程遠かったのだろう。
グループリーグの結果
グループA
日本はフランスに勝って、3戦全勝の勝ち点9で1位通過。
メキシコが南アフリカに勝って、2勝1敗の勝ち点6で2位通過。
3位フランス、4位南アフリカは、グループリーグ敗退。
グループB
勝ち点3で4チームが並んでいたため、最終節で勝ったほうが決勝トーナメント進出、負けるとグループリーグ敗退が決まる状況。
韓国がホンジュラスに6-0と大勝して、1位通過。韓国は、初戦敗戦のあと、2戦目の勝利から波に乗り始めたか。
ルーマニア対ニュージーランドはスコアレスドローとなり、得失点差で上だったニュージーランドが2位通過。
3位ルーマニア、4位ホンジュラスが、グループリーグ敗退。
グループC
注目度の高かったスペイン対アルゼンチン戦は、先行したスペインに対して試合終盤にアルゼンチンが追いついて1-1のドロー。スペインは2位以上を確定したが、アルゼンチンは3位以下が確定。
引き分け以上で勝ち抜けが決まるオーストラリアは優位な状況だったが、エジプトに2-0と敗戦、4位でグループリーグ敗退となった。試合前勝ち点1の4位だったエジプトが、逆転で2位通過を決めた。
結果的に、アルゼンチンは僅差の3位だった。
グループD
勝ったほうが決勝トーナメント進出を決めるドイツ対コートジボワール戦。1-1のドローとなり、勝ち点1差のままでコートジボワールの2位以上、ドイツの3位が確定し、試合後の両チームの様子は対象的だった。
ブラジルはサウジアラビアに順当に勝って、1位通過を確定させた。
決勝トーナメントの展望
グループAを1位で通過した日本は、決勝トーナメント1回戦の相手はB組2位のニュージーランド。
順当に勝ち上がれば、準決勝ではスペイン対コートジボワールの勝者。スペインが予想されるが、コートジボワールもグループリーグの様子を見ると侮れない。
ブロックの反対側からは、波乱が起こらなければ決勝の相手はブラジル、3位決定戦なら韓国かメキシコが予想される。
主力でイエローカードをもらっているメンバーが出ており、決勝トーナメントでの出場停止が懸念される。酒井宏樹は既に2枚目をもらっており1回戦が出場停止、他1枚の選手は2枚目をもらうと次戦が出場停止になる。
累積警告は、次戦の決勝トーナメント1回戦まで持ち越され、準決勝進出でリセットされる。
2枚 酒井宏樹 ※次戦出場停止
1枚 遠藤航 堂安律 中山雄太 田中碧 冨安健洋
累積警告枚数
決勝トーナメント1回戦の相手はニュージーランドと、かなりイージーな相手になった。
準決勝以降は総力戦となることは間違いないことから、フランス戦の後半と同様に、ここで主力の休みや累積警告を踏まえながらメンバーを使っていくだろう。